2009年05月の記事一覧

反転に向って:養老天命反転地



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荒川修作の作品もことばも挑発的で刺激的だ。
しかし、その根底に流れる思想は、地球の未来を憂いて、その未来に希望を切り開いて行こうとする科学者の様だ。環境問題や経済活動など、このままでは地球は立ち行かなくなる。刻々と「死」へと向かう人間の宿命を反転させようという試みが、この養老天命反転地だと言う。

迷路の様な建物を抜けると、「昆虫山脈」という岩山が現れ、その山を越えると、
岐阜県のカタチをした屋根を持つ「極限で似るものの家」が出現する。
その超位相的な空間に感覚を揺さぶられる。

平らな足場の無い空間は、身体のバランスをバラバラにし、感覚を分断するかのように、
そして、視覚も平行感覚も、目眩にも似た揺らぎの中で、ゆるやかに再構築されて行くようだ。
急勾配にそそり立つ、「精緻の棟」に更なる目眩をおぼえつつ、その急勾配を登りきると、すり鉢状の巨大な空間「楕円形フィールド」が背景に養老山地を背負って現われる。それは、まるで未知の惑星にたどり着いたかのような、異様な光景だ。

そして、そこには5つの日本地図の形状が暗号のように、配置されている。
日本の中心に位置する岐阜県で、若返りの泉があるとされる養老伝説の地に、天命を反転する為の場所があるのだ。

この、なんともアバンギャルドな空間には、GWということもあり、家族連れで賑わっていて、まるでアスレチックランドのようだ。みんな、この不可思議な空間を楽しんでいる。
子供は本来の野生の力を取り戻したかのように斜面を滑り、大人も童心に帰って崩しそうになるバランスを立て直す為に必死にダンスを踊り続けている。

その傾斜に揺さぶられる身体の事について、荒川修作はこの様なこと言っている。
「バランスを崩したとき、人はつくられた常識が取り除かれて五感だけとなり、新たな地平を知る。」
と、そしてさらに、
「君がそこに入ることで、何十人という気配が生まれるんだ、10億年後にそこに君が現れるとしたらどうする。斜面で君の体は後ろに倒れそうになるだろう、重心を後ろに倒した時に、バランスを取ろうとして、この空間と時間とその場所と話はじめるんだ。その環境と空間、時間を使って接触の為のイベントを沢山作っているんだ。」

時間や空間という概念を越えて、身体が感覚が、私という存在が、世界に向って開かれて行く。
記憶の中に存在するイメージの様に、分断されバラバラとなりそして再構築された私の存在は、
パラレルに続く無限の中を、今も彷徨っている。



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